世界的なゾンビイベント “Zombie Walk” をはじめとして、
ドラマ “The Walking Dead” や、家庭用ゲーム “Dead Island” など、
ゾンビ人気はとどまるところを知らない。
今回も、前回に引き続き、「ゾンビはなぜ人気があるのか?」について、
iPhoneアプリランキングからその 謎を追っていこう。
前編はこちら→なぜアメリカではゾンビが人気なのか?(前編)
■前回までのあらすじ
11/13現在では、USとJPではランクインするゾンビアプリの数に大きな差があった。
US Top300以内…14タイトル
JP Top300以内…6タイトル
8タイトルの紹介から以下のような「人気の秘密」がおぼろげながら見えてきた。
・ゾンビは人種の壁を越えた悪者で、攻撃することで罪悪感は生まれない
・ゾンビはモンスターなので、スプラッター表現が可能
・ゾンビのいる世界観(終末感)はアナーキーでスリリングである
以上を踏まえて、さらなる Zombie アプリを見ていくことにしよう。
(記事内ランキングはいずれも11/11/13時点のもの)
Zombie Gunship は 7/21リリースのシューティングゲーム。
US有料ダウンロードランキングTop103、売上ランキングTop157。
JP有料ダウンロードランキングTop344、売上ランキングTop454。
日本でもランクインしてはいるものの、決して高いランクではないのだ。
定番といえば「ゾンビ」+「FPS」だが、こちらは上空からゾンビを狙い撃ちするゲーム。
アメリカでは、ゾンビをいたぶる方法の探求に余念がないのだ。
基地に侵入しようと迫る大量のゾンビを、航空機の機銃で掃射していこう。
白く映っているのは生きた人間(体温がある)なので、撃たないように注意が必要だぞ。
プレイ感は、爽快の一言。
プレイヤーは安全な上空から、押し寄せるゾンビを撃つことができるのだ。
逆に、地上で繰り広げられるゾンビ世界の終末感はあまり味わうことができないので、
純粋にゾンビへの銃撃を楽しみたい人にオススメするぞ。
(あんなに遠くだと、ゾンビでも人間でもあまり変わらないけれど)
ご存知の人も多いかと思うが、Beeline (CAPCOM) のヒットアプリ。
1/26リリースから時間が経過しているせいか、US売上ランキングはTop230と低下中。
逆に、日本語版は後から登場したためか、
JP無料ダウンロードランキングTop336、売上ランキングTop27と、
日本のほうが好調になっている。
プレイヤーはゾンビの店員を従えて、なぜかカフェを経営する。
基本はメニューを調理し配膳する、いわゆる「カフェ系」だが、
客をゾンビに変えてしまったり、別のカフェを襲撃したりすることができるのだ。
かなり丁寧に作られていて、手触り感はとても良く感じる。
しかし、前編で紹介したCyberAgent の “Zombie Restaurant” も 似たような内容だったが、
いずれも突飛な設定に感じられるのは気のせいではなさそうだ。
多くのデベロッパーが “Zombie” を採用する理由のひとつに、
マーケティング視点からの 「Zombie の実績」 を評価(ヒットタイトルが多い)して…というものがある。
そんなマーケティング的な着想に、ゲームクリエイターの繰り出す「斬新さ」が融合し、
Zombie Cafe や、 Zombie Restaurant といった異色のアプリが生み出されるのだろう。
成績だけ見れば「カフェ系」+「ゾンビ」はナシではなかったようなので、
今後もマーケティング主導の「???系」+「ゾンビ」攻勢はしばらく続きそうだ。
ゾンビ好きの皆さんは、生つばを飲んで待とう。
しかし、マーケッターやクリエイターの皆さんにおいては、
しっかりと “Zombie” の特性を捉え、最適な組み合わせを見つけるためにも、
本記事を十分に読み、活用してほしい。
異色アプリの定番 “Zombie Farm” は、2011年2月リリース。
US無料ダウンロードランキングTop259、売上ランキングTop31と、好調を堅持している。
JPでも無料ダウンロードランキングTop413、売上ランキングTop164と、そこそこ良い。
まだご存じない人でも、タイトルから内容は予想できると思う。
筆者は Zombie Farm に少々の怒りを覚えている。
「ゾンビ」+「農場」はいい。ストレートなブレンドだが、決して悪くはない発想だろう。
問題は、 Zombie Farm = 「ゾンビ農場」なのに、トマトや人参などの一般的な野菜も栽培する点。
Zombie Restaurant だって、「脳のステーキ」を客に出している。
なるほど、ゾンビのレストランに似つかわしいナイスレシピだ。
それがこの Zombie Farm では、なんと「トマト」である。そして、「人参」である。
決して、「血塗られたトマト」や「呪われた人参」ではない。
まさに、「冷やし中華、はじめました」である。
うちの農場、「ゾンビ栽培、はじめました」である。
(もちろんゾンビも野菜と同様、収穫せず放置すると、腐ってしまい廃棄となる……ん?)
そしてなにより、このアドオン的仕様でUS売上ランキングのロングセラーアプリの地位。
どうも釈然としないのは、筆者だけであろうか。
1/14リリースのシューティングゲーム。
US有料ダウンロードランキングTop224、売上ランキングTop319とそこそこの成績だが、
日本では圏外となっている。
本作は TPS(=プレイヤーキャラが画面上に見えるタイプのシューティングゲーム)。
プレイ感覚はiPhoneの一般的なFPSタイトルよりも、スピーディーで高難易度に思える。
操作も細やかで素早いものが要求されるのだ。
カメラ視点は異なるが、 Glu がリリースしている “Gun Bros” のウェーブをさばく感じに近い。
敵を倒してお金を稼ぎ、武器をパワーアップする点などもよく似ている。
そしてやはり、スプラッター表現がたっぷりだ。
「ゾンビ」と「シューティング」の相性の良さを感じさせるタイトルといえる。
日本でUSほどの Zombie アプリ人気がない理由のひとつに、
日本のFPS、TPS不振が関係しているかもしれない。
今回紹介した Zombie アプリ 15タイトルのうち、1/3以上がシューティングゲームだが、
日本でTop300に入っているゾンビ6タイトルに、シューティングの姿はないのだ。
前編で紹介した “Zombieville USA 2″ の前作で、2009年2月リリース。
US有料ダウンロードランキングTop126、売上ランキングTop520 と、役目を終えた感はある。
日本ではもちろん圏外。
続編との大きな違いは、
「奥行きの概念」がないことと、ステージの右端に行くと即クリアとなる点だ。
こちらのほうが筆者はシンプルで気に入っている。
画面の通り、スプラッター表現もしっかり用意されており、
手軽にゾンビを倒したい気分の時(?)は、最適のアプリといえるだろう。
10/14リリースの新作は、ゾンビ生活を送ることができる異色アプリ。
あの “Zombie Farm” の “The Playforge, LLC” が繰り出すゾンビアプリ第二弾だ。
US無料ダウンロードランキングTop178、売上ランキングTop99。
JP無料ダウンロードランキングTop281、売上ランキングTop181。
人気は上昇中に見える。
……「トマト」の次は、「職安」である。
筆者も怒りを通りこして、もはや楽しくなってきた。
このアプリはゾンビ生活を堪能できるはずなのだが、
やることは、「バーガーショップでハンバーガーを買う」、「店内のモップがけをする」 など、
ゾンビのわりにはとても人間的なのだ。
これでは「緑色っぽいホームレス」である。
そしてくやしいことに、なかなか面白い。
テンポ感はイマイチだが、独特の雰囲気とプレイ感はあるので、一見の価値ありだぞ。
最後を飾るのは、2010年4月リリースのロングセラーカメラアプリ。
今回の記事で、唯一ゲームではない Zombie アプリなのだ。
なんと、「カメラで撮った顔をゾンビっぽくしてくれる」というちょっと変わったアプリ。
US有料ダウンロードランキングTop279、売上ランキング圏外。
JP有料ダウンロードランキングTop234、売上ランキングTop813。
カメラアプリのためか、日本のほうが人気がある。
(日本人はカメラが好き)
USランキング上位はほとんどがゲームだが、日本では非ゲームが多い傾向にある。
人間以外にも対応してくれるのかどうか、とても興味深い。
画像処理にはちょっとだけ時間がかかるため、
宴会および合コンなどで用いるには、間をつなぐ巧みな会話術が別途、必要となる。
小鳥でも比較的、しっかりとゾンビ化してくれた。
静止画ではわかりづらいが、実際には顔を中心にうごうごし、
時折、「キシャァー!」と高速で首を動かすため、かなり怖い。
ゾンビのパターンもいくつかあり、気に入るまで変更することができる。
これはなかなか良いアプリだと感じた!
……以上で、前後編あわせ日米Top300にランクインしている15アプリを紹介した。
いかがだっただろうか。
いずれも1タイトルで記事が書けそうな良いアプリばかりだったため、
15アプリまとめて記事にしてしまった今、筆者には後悔の波が押し寄せている。
「なぜアメリカではゾンビが人気なのか?」
各アプリの内容や、USニュースサイト記事の意見を総合し、
筆者は以下のようにまとめてみた。
①合法的で、大義名分のある攻撃対象である
ゾンビは人間の平和をおびやかす人外の魔物であるため、
この議論多き時代においても、殺すことが問題視されない。
(そもそもすでに死んでいる)
また、国籍に注目されない者達でもあるため、
多民族をようする国家アメリカが選択する相手として、
これほど適当な攻撃対象はいないといっていい。
実際、多くのFPSタイトルは、
作品ごとに敵国家、組織の選択に苦悩している。
②銃との相性が良い
ゾンビは人間ではないため、銃で撃たれた際に、
腕が吹っ飛ぶ、頭が破裂するなど、
プレイヤーが期待するフィードバックを提供することが可能だ。
そして、アメリカは銃国家であり、アメリカ国民は規律ある民兵である。
銃を持てば、発砲し、その威力を体感したいと感じる。
③ゾンビに対し、人間は優位である
ゾンビは、数多のモンスターの中でもトップクラスに弱い。
遅い、もろい、丸腰、という、
人間よりも弱い稀有なモンスターである。
これが、ゲームの攻撃対象として適切な第三の理由で、
意外に見落とされがちなポイントでもある。
この点は、ゾンビを攻撃対象としないアプリであっても影響があり、
人間は基本的に、自分より弱い立場の者を観察することで、
自分の優位性を再認識することが好きである(優越・支配欲求)。
④ゾンビの世界観は魅力的である
ゾンビの登場する世界は、しばしば人類滅亡の脅威にさらされている。
その終末感はスリリングであり、アナーキー(無政府状態)であり、
プレイヤーにとって、フリーダムな世界である場合が多い。
そしてそこでは、だれもが散弾銃を手にヒーローとなることができる。
プレイヤーは必ずしも NAVY や、 SWAT である必要はない。
この世界観に対する期待感は、
これまでの多くのゾンビ映画やゾンビゲームの予備知識によって、
プレイヤーの頭の中につちかわれている。
⑤生存本能は最もシンプルな欲求である
プレイヤーはゾンビの大群が迫ることによって、
プレイヤー自身の死を身近に感じることができる。
死のスリルからの脱出は、プレイヤーの生存本能を刺激する。
多くのプレイヤーにとっては、
国際的テロ組織が保有する核弾頭や、独裁国家の侵略よりも、
死亡した家族や友人による襲撃のほうが、身近で興味のある話題らしい。
そして前述のとおり、ゾンビは非常に弱いため、
見た目には大群で、プレイヤーを死のスリルにいざないはするが、
実際にプレイヤーが負けることは、ほぼない。
⑥ゾンビ=利益 である
前述のような理由から、ゾンビには多くのセールス実績がある。
マーケッターにとって、ゾンビとは利益を生む手堅い商材なのだ。
とくに、前述のポイントを踏襲しないかたちで、
異色のゾンビアプリ(Cafe, Restaurant, Farm, Life ) が
生み出される背景には、この点が強く影響しているといってよい。
もちろん、プレイヤー側もその状況に呼応していて、
「ゾンビ」という題材が、次はどのような姿で登場するのか、
待ち望んでいる気配はある。
アメリカにおいて、「ゾンビ」はすでに市民権を得ているのだ。
※一部の海外サイトでは、ゾンビブームと情勢不安を結びつけていたが、
心理学的な根拠までは明瞭でなかったため、採用を見送った
さて、二回にわたってお送りした「なぜアメリカではゾンビが人気なのか?」だが、
これにて終了したいと思う。
筆者なりに分析した「人気の秘密」が、
皆さんと Zombieたち との架け橋になることを願って。
ちなみに筆者は、ゾンビが大嫌いだ。
したがって、今回の記事制作は悪夢のような時間だった。
ではまた。
(kana)
2 Responses to “なぜアメリカではゾンビが人気なのか?……USトップ Zombie アプリ15タイトルから学ぶ (後編)”
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